第2章 シルバー経済の台頭:高齢化の世界的な影響
世界人口の高齢化に伴い、各国で人口動態が大きく変化している。これには大きな意味合いがある。第2章では「シルバー経済」の台頭を探り、健康な高齢化の度合いとその労働市場への影響、人口動態の変化による広範な経済的影響、高齢化の悪影響を緩和するための的を絞った政策の役割に焦点を当てる。分析では、高齢化が成長の鈍化や財政圧力の増大などの課題をもたらす一方で、健康な高齢化が重視される傾向により、労働参加率を高め、労働寿命を延ばし、生産性を向上させるという希望の光があることが明らかになった。本章では、健康な高齢化を支援し、高齢者の労働参加率を高め、労働人口の男女格差を縮小する政策の重要性を強調している。人口動態の逆風が吹く中、各国は、こうした戦略を活かすことにより、成長を押し上げ、財政バッファーを再構築すべく、シルバー経済の潜在力を活かすことができる。
第3章 旅路と分岐点:移民と難民政策の波及効果
移民や難民の流れは、公の議論における定番のテーマとなった。第3章では、移民・難民政策の厳格さを変えることがいかに、人々の国内および国を超える行き先の選択、また、その法的選択肢を左右し得るかを分析する。例えば、政策を厳しくすれば、人の流れを新たな目的地へ変えることができる。こうした目的地の国々は、短期的には現地のサービスへの負担から生じる課題に直面し得るが、最終的には、長い目で見て恩恵を受ける。新興市場国や発展途上国のように、新たに来た人たちを統合する上での課題が大きい国々、また、移民のスキルが現地の労働市場のニーズにうまく合っていない国々では、コストがより深刻になる可能性が高い。インフラ投資を増やし、民間部門の発展を促進することにより、恩恵をより早く被ることができる。国際協力は、短期的なコストを各国間でより均等に分配する環境を作り、これも追い風となる。