見通しがばらつく中での着実な成長
アジア太平洋地域は2023年下半期に、予想を上回る経済活動を示し、年間の成長率が5.0%に達した。インフレ率は低下し続けた。ただ速度にばらつきがあり、価格圧力が根強く残る国と、デフレのリスクに直面する国が存在する。
2024年の成長率予測は4.5%と、ペースがわずかに落ちる見込みだ。世界的なディスインフレと、金融緩和が見込まれることによって、ソフトランディングの可能性が増す中、短期的リスクは現在、上振れと下振れの間で概ね均衡がとれている。しかし、中国の不動産部門の大幅な調整による波及効果が依然として重要なリスクであるほか、地経学的分断が中期的成長の見通しに影を落としている。
物価情勢が各国で異なることを踏まえると、中央銀行の政策は、国内のニーズに合わせて慎重に調整する必要がある。高齢化や気候変動など、構造課題に対処する際には財政余地が必要となるため、債務負担と債務返済コストを抑制するために財政再建を加速すべきである。