IMFが担っている主な役割のひとつが、加盟国の経済と金融政策をモニタリングし、政策助言を提供することです。この活動はサーベイランス(政策監視)として知られます。世界全体、また地域レベルでも行うサーベイランスの過程でIMFは、潜在的なリスクを特定することで、経済成長を持続させ、金融の安定性を促進するために必要となる適切な政策の調整について助言します。
詳しく知りたい方はサーベイランスに関する最新のプレスリリースをご覧ください。
政策の是正を要する可能性のあるリスクの特定には、IMFによる注意深いモニタリングが欠かせません。グローバルに統合された現代の世界経済では、こうした取り組みに国際協力が不可欠です。今日の世界では、ある国の問題や政策が他の国にも影響を及ぼしかねません。IMFには世界の大半の国が加盟しており、こうした協力を促進できます。
IMFのモニタリングには各国を対象とする国別サーベイランスと、世界経済を対象とする多国間サーベイランスがあります。
詳細はIMFがどのように世界経済をモニタリングするかについての動画をご覧ください。
IMF職員は各国の経済政策と見通しを最善の方法で評価するために、幅広いグループの人々と包括的に議論します。
IMFによるサーベイランスのために、通常は年に1度、加盟国への訪問があります。IMF職員は加盟国に滞在している間に、政府や中央銀行の当局者と国内外の安定性に対するリスクに関して、そしてそうしたリスクに対処するための政策や改革に関して協議します。
こうした協議の中心テーマとなるのが為替相場や通貨政策、財政政策、金融政策、そして構造改革です。気候変動やデジタル化など、経済と金融の安定性に非常に重要なその他の分野の展開についても協議します。IMF職員は通常、議員やビジネス界の代表者、労働組合、市民社会の人々と話し合います。このように幅広いグループの人々と包括的に議論することで、各国の経済政策や経済見通しについて、より適切な評価ができます。
IMF職員は評価を完了した後に、 理事会での協議に向けて報告書を提出します。報告書に対する理事会の見解が加盟国の政府当局に提出され、これをもって「4条協議」と呼ばれる過程が完了します。透明性を確保するために大半の加盟国はIMF職員による報告書とそれに伴う分析、そしてIMF理事会の見解を公式声明で公表します。
IMFとサーベイランスについての動画をご覧ください。
IMFは各地域や世界経済の情勢をモニタリングし、加盟国の政策が近隣国や世界経済に与えうる影響について分析します。そして、そうした情勢や分析について定期的に報告書を公表しています。
「世界経済見通し(WEO)」は、世界の経済と成長見通しに関する詳細な分析を示し、世界的な金融不安のマクロ経済的影響や国際的な波及効果の可能性を取り上げます。特に米国、中国、ユーロ圏といった経済大国の経済・財政・金融の諸政策がもたらしうる波及効果の課題に焦点を当てます。
詳細はこちら「対外セクター報告書(ESR)」 は世界で経済が最も大きい29か国とユーロ圏の対外収支を分析するものです。 この報告書では、経常収支と為替相場、対外バランスシート、資本フロー、外貨準備高を評価します。
詳細はこちらIMFは1年に2回、「グローバル政策アジェンダ(GPA)」を公表しています。これは多国間サーベイランスの主要な分析結果や政策助言をまとめており、IMFとその加盟国が今後進めていくべき様々な政策を提案するものです。
詳細はこちらIMFは主要先進国・新興市場国20か国で構成されるG20など他のグループとも緊密に連携しており、相互評価プロセスを通じて国際経済協力を持続させようというG20の取り組みを支援しています。IMFは、バランスのとれた世界経済の成長を持続させるという目標に加盟国の政策がどれほど合致しているかを分析しています。
世界経済の変化を反映するために、IMFは定期的にサーベイランス活動を見直しています。2021年に終了した最新の包括的サーベイランス見直しは、今後5年から10年にわたるグローバルなサーベイランスの青写真を示しました。
この見直しで、加盟国をよりよくサポートするための4つの優先事項を特定しました。
加盟国レベルでは引き続き、4条協議として知られる加盟国経済の定期的な健全性調査で、各国の財政と金融、為替レート、金融市場の課題を確認します。気候変動とデジタル技術、格差、パンデミックなどの世界的な出来事が変わりゆく世界を形作る中、IMFの将来を見据えたサーベイランスアプローチは、加盟国にさらにタイムリーで的を絞った政策アドバイスを提供することを目指しています。