金とIMF

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金の役割

金は、為替レートと金の価格が連動していた過去の数十年にわたり国際通貨制度で中心的な役割を果たしてきました。固定通貨制度は1973年に終了し、金の役割は衰退しましたが、現在でも重要な準備資産であり、IMFは世界最大の金保有量を有する公的機関のひとつです。

 

IMFの金保有の財源

IMFは約9,050万オンス(2,814.1メトリックトン)の金を、指定の預託機関で保管しています。  

1970年代初めまでIMFは、以下の4つのチャネルを通し金を取得しました。

1. 1944年のIMF創立時、加盟国は当初のクォータ(出資割当額)の25%を金で支払いました。その後30年間にわたり、クォータの増額時に同じことが行われました。IMFの保有する金は、この支払いによる部分が最大の割合を占めています。

2. .加盟国のIMF信用枠の利用に対する金利の支払いも通常、金で行われました。

3. 加盟国は、IMFが延長した融資の返済に金を使うことも可能でした。

4. ある加盟国が他の加盟国の通貨を取得したい場合、IMFに金を売却することで得られます。1970年~1971年にかけ南アフリカが行ったIMFへの金売却がその一例です。

金本位制の終了

各国が通貨と金の連動を停止すると、IMFは新たな現実を反映するために変更を承認しました。1978年4月に可決されたIMF協定の第2次改正に基づき、IMFは金を購入したり、融資、リース、スワップ、または担保とするなどの金の取り引きに関わったりする権利がありません。市場実勢相場に基づいた金のアウトライト売却は認められており、加盟国による融資返済の際、市場価格に基づき合意された価格で金を受け取ることも認められています。ただし、こうした取り引きには、総議決権の85%という大多数の賛成を得た、IMF理事会の承認が必要です。

Nixon Ends Convertibility of U.S. Dollars to Gold

インフレが上昇し、金の購入に走る傾向が現れ始めたことにより、リチャード・ニクソン大統領のチームは、米ドル金兌換制を停止し、賃金と物価を管理する計画を実行し、まもなくブレトン・ウッズ体制は終焉を迎えました。

IMFの金の用途

IMFは今まで、加盟国に金を返還する、または保有の一部を売却することが何度かあり、その理由は多岐にわたります。

1957年から1971年にかけて、IMFは保有通貨補充のために、数回にわたり金を売却しました。1956年から60年にかけて、業務上の赤字相殺のために、金の一部を米国に売却し、米国債に投資しました。

1999年、IMF理事会は、重債務貧困国(HIPC)イニシアティブに参加するにあたり必要な資金を確保するため、金の市場外売却を承認しました。最終的には、ブラジルやメキシコとの取り引きで1,294万オンスの金を売却しました。

2009年、IMF理事会は、当時のIMF総保有量の8分の1に相当する 1,297万オンスの金売却を承認しました。この動きは、長期的に健全な財政基盤を確立し、貧困削減・成長トラストを通じて低所得国への低金利または無金利融資を増やすことを目的とする新規歳入モデルの一環でした。

この売却は2009年10月に始まり、中央銀行などの公的保有機関との市場外取引が市場価格で行われました。2010年2月、IMFは、市場の混乱を避けるため、数か月にわたって市場で金売却を開始することを発表しました。売却は2010年の12月に完了しました。

金の簿価を上回ったIMFの利益は68.5億SDRに上り、これは売却を承認した際の予想を上回るものでした。これら想定外の収益を得て、IMF理事会は2012年2月、加盟国に対する7億SDRの第1回目の配分を承認し、2012年10月に発効しました。

How does the IMF use gold?

配分には、配分額の最低でも90%に相当する額を貧困削減・成長トラスト(PRGT)に拠出するという保証が必要でした。2022年8月末現在、配分額の90%近くがPRGTに拠出されています。

2012年9月、理事会は、;金の売却に伴う想定外の利益からの準備金17.5億SDRの第2回目配分を承認し、2013年10月に発効しました。2022年8月半ば現在、配分額の90%がPRGTに拠出されています。金の売却に伴う想定外の利益の配分は、PRGTを通じて最貧困国への融資を増やすための重要な要素です。

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最終更新日: 2023 年 3 月